『知立国家 イスラエル』、米山伸郎著、文春新書、2017年。

イスラエルは面積が日本の四国ぐらい、人口は900万人弱と、かなり小さな国です。

いうまでもなくユダヤ人が設立した国家であり、全人口の75パーセントがユダヤ系。

建国は(2017年から起算すれば)おおよそ70年前でした。

わたしは、これまでユダヤ人に関する書籍はあれこれ読んだものの、イスラエルを語った本に接するのは今回が初めてでした。

『知立国家~』では現下のイスラエルの隆盛がくわしく紹介されています。

さて、ユダヤ人の知的優秀さは世界中で知られるところです。

たとえばノーベル賞受賞者数を見ると、

2017年9月現在、ユダヤ系の受賞者は、物理学賞52人(全受賞者204人中)、化学賞36人(同176人中)、医学・生理学賞55人(同211人中)、経済学賞26人(同78人中)にもおよぶ。世界人口が約74億人で、ユダヤ人の総人口は約1400万人にすぎないことを考えると、いかに彼らが際立った知的貢献をしてきたかがわかる。(PP.149)

この圧倒ぶり。

イスラエルにおいては当然そういうユダヤ人たちがひしめいているわけで、つまり同国は国民のすばらしい知力を活用しながら伸びている国なのです。

それに関連する事項として、国内での起業も非常に多いらしく、起業については、

伝統的にユダヤ人は個人の失敗については寛容である。現在のイスラエルも、「失敗を恐れない社会」を築こうとしている。(中略)ベンチャーを起業しても、かなりの確率で失敗する。それを想定しつつ、たとえ失敗したとしてもその失敗体験は必ずベンチャーキャピタルの無形資産となり、成長への糧となるというのである。(PP.181)

こうした文化の支えがある由でした。

上掲書「あとがき」において、著者の米山氏(1958年生まれ)は「日イの連携が両国のビジネスにとっても有益ではないかという思い(PP.233)」を開陳されています。

きっとそのとおりでしょう。

ところで本書では、著者が「なぜユダヤ人たちは頭がよいのか」という問いを継続的に発し、具体例を交えつつ推論されています。

しかし、確たる答えにはたどりつけませんでした。

わたしは誠実な態度と思います。

民族の知能の高低に関しては心理学でもなかなか断定できていませんので。

それではここで珍説をひとつ。

わたしは往年のアメリカ在住時、よくユダヤ人が経営するパン屋さんへ行ってベーグルを購入していました(ベーグルはユダヤ人の国民食です)。

本家本元のベーグルは疑いなく「パン界最硬」といえるほどの硬さで、わたしはかならず種類が異なる2個を買っていたのですが、食べている途中でアゴが疲れてしまい、ついに一度も2個目を終了することができませんでした……。

子どもが硬いものを噛んでアゴを動かしつづけていると頭がよくなる、という研究報告があります。

真偽のほどは知りません。

わたしは「ユダヤ人たちは幼少期からでたらめに硬いベーグルを食べているせいで頭脳が明晰なのではないか」と、文字どおり愚考したのです。

金原俊輔