『まったく新しい 介護保険外サービスのススメ』、小濱道博著、翔泳社、2017年。

これから当分のあいだ、日本国内で「65歳以上の高齢者たちを対象とするビジネス」が成長してゆくのは、だれもが予測できることです。

上掲書は、当該領域でビジネスを手がけているかた、シニア層がターゲットである会社の起業を準備しているかた、両者を念頭に書かれました。

わたしはその方面の素人に過ぎず、「介護保険外サービス」という表現自体が初耳なレベルです。(※)

長崎メンタルヘルス社を経営するにあたり何らかのヒントが得られないかと本を開きました。

著者の小濱氏は「介護事業経営コンサルタント」の由で、肩書きどおり、斯界に関連する豊富な知識と斬新なアイデアをおもちです。

わたしはとても刺激を受けました。

自身への刺激となった情報例は、

2016年11月18日の新聞紙面に、日本郵便など8社が高齢者支援に郵便局網を利用した生活支援サービスに参入し、新会社を設立するとの報道がされました。全国規模での保険外サービスが大手によって提供されることとなります。(pp.38)

大企業が高齢者を視野に続々と動きだしている模様です。

上記以外にも、警備会社のセコム、イオン・グループ、リクルート・グループ、運送業ヤマト・ホールディングス、小田急グループ、といった大手が新たな事業を展開中。

巨額の利益が見込まれるのでしょう。

著者による小さな会社へのアドバイスも106ページでなされていました。

ところで、わたしは104ページの、高齢者のための「大掃除の代行サービス」「年賀状の代筆サービス」「お墓参りの代行サービス」などを読んでいた際に、ふと「インターネット上のお仏壇を提供するビジネスはどうだろうか」と思いつきました。

調べてみたところ「ウェブ仏壇」はすでにいくつかの寺院がおこなっているようでした(まあ、わたしが思いつくようなことはどなたもが思いつくわけです)。

それでも、いままで考えたことがない案がひらめいたのは、本書から受けた刺激の賜物です。

読了後しばらくたったら各種刺激が発酵し、つぎの着想に至るかもしれません……。

著者はまた、介護保険サービスおよび介護保険外サービスの業者を語りながら、

同じことだけを行っていては、周りがどんどん追い越していきます。ビジネスモデルもシステムも常にバージョンアップが求められます。誰も手助けしてはくれませんし、国は何の指示も出してはくれません。すべてを自分たちの力で切り開く必要があります。(pp.130)

このように記されました。

大事な心がまえと思います。

直後の「職員全体で、知恵を出し合う」の項も参考になり、とにかくわたしにとって『介護保険外サービスのススメ』は有益な一冊でした。

(※)「介護保険外サービス」とは、高齢者が外部から種々の生活援助を受け、かかった費用を全額自己負担するタイプのサービスのことです。

金原俊輔