『働き方の問題地図:「で、どこから変える?」旧態依然の職場の常識』、沢渡あまね、奥山睦共著、技術評論社、2018年。

昨今、マスコミでかまびすしく取りざたされている「働き方改革」。

政府が主導している改革です。

それでは経営者たちは何をどう改革してゆけばよいのか?

このような疑問にたいして、ビジネス領域で活躍していらっしゃる著者おふたり(男性と女性)が、ご自分たちの体験・創意を基にしながら、いくつものアドバイスをしてくれました。

アドバイスは、正社員重視を変える、副業禁止を変える、完全出社主義を変える、男性主体を変える、など。

重要な事柄ばかりです。

アドバイスの中からふたつを紹介しましょう。

まず、副業禁止を変える件。

多くの企業の就業規則に「副業禁止」の語が入っています。

しかし、

労働基準法では副業やアルバイトに関しての規制の法律はありません。一般的に、企業では就業規則に記載して副業禁止の対応をしていますが、企業には勤務時間以外の行動を制限する効力はないのです。(pp.157)

以上の由でした。

著者は、むしろ副業を認めることによって「副業をおこなった従業員たちが自律的になる」「社内イノベーションが期待できる」「生産性が高い人材を確保でき、退職後にもネットワークを活用できる」といったメリットが生じる、会社にとってプラスになる、と主張されています。

わたしも副業賛成派であり、わが社は副業を禁じていません。

二番目に、完全出社主義を変える件。

これは「テレワーク制度を導入せよ」という意味です。

テレワークとは「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方(pp.114)」のこと。

要するに、出社しないで自宅にて勤務する就業形態です。

勤労者が職場へ物理的に身体を運んで働く働きかたを「プレゼンティズム」といいますが、いまや、かならずしもプレゼンティズムを必要としない仕事が多々あります。

そういうお仕事をなさっているかたがたでしたら、これまた、わたしは導入に賛成します。

ただし、経営者である著者ご自身が重い病気のせいでテレワーク的な業務をなさったときには、

オフィスから見えない働き方であるからこそ、より緊密な報連相がポイントとなります。(中略)
社内スタッフと外注スタッフも緊密に連絡をとりあって、私の仕事を補完してくれていました。
私が指示したことは、たった1つ。
「仕事の進捗だけは、必ず毎日、私あてにしてほしい」
すると、毎日午前、午後、夕方と3度にわたって必ず報告メールがきました。(pp.212)

やむをえなかった状況とはいえ、スタッフのみなさまのご負担が相当増えてしまったのではないでしょうか。

経営陣はテレワークに関わらないほうがよいかもしれません。

いずれにしても、本書では新しい時代に応じた新しい経営のありかたそして就労の仕方が詳述されており、参考となりました。

若い著者たちが示した斬新で思い切った発想・提案に、ほとんどが年配であろう経営者や管理職者らは耳を傾けるべきと考えます。

若者が望むような職場環境を作りあげることが、年長者の務めですので。

金原俊輔