『安売り王一代:私の「ドン・キホーテ」人生』、安田隆夫著、文春新書、2015年。

わたしは長崎市「ドン・キホーテ」のお世話になっており、よく焼酎やワインの小規模「爆買い」をしています。

上掲書は、このドン・キホーテ社を興した、安田隆夫氏(1949年生まれ)がご自分で執筆されたものです。

独創的な発想、逆転の発想が、つぎからつぎへと記述されており、ビジネスに携わる人ならばどなたにでも参考となる本です。

たとえば、

通常、「消費」と言えば、普通の家族が朝起きてから寝るまでの時間、すなわち朝八時から夜十時くらいまでの時間帯に行われるもの・・・というのがこの国の為政者たちの認識だろう。
そこにすっぽりと抜け落ちているのが、いわゆる「夜の経済学」である。(pp.46)

こう考え、安田氏は深夜営業をおこないだして、多くの顧客に歓迎されました。

また、

ドン・キホーテの売場は商品が所狭しと並び、「ジャングル」と形容される。(pp.57)

専門的には「圧縮陳列」と呼ばれるそうなのですが、店舗であえてそうした品物の並べかたをし、それが、

店の印象を聞くと「夜の祭りや子供の頃に行った駄菓子屋」「ちょっとディープなアジアのバザール」といった答が返ってきた。(pp.99)

という良い評価につながりました。

たしかにドンキにはそのような雰囲気があり、夜祭りだの東南アジアの市場だのが大好きなわたしにとっても非常に魅力的です。

以上のような種々の工夫と努力の結果、現在、ドン・キホーテは年商6840億円、営業利益が約400億円の、巨大企業に成長しました。

ご発展をお祝い申し上げます。

さて、このドンキ、前身は1978年(昭和53年)、安田氏が29歳だったときに東京・杉並区西荻窪でひらいた「泥棒市場 ジャスト」店なのだそうです。

びっくりしました。

1982年(昭和57年)から5年ほど、わたしは練馬区の関町に住んでおり、通勤に利用していた駅は西荻窪駅でした。

しょっちゅう西荻窪のあちこちをうろつき、「泥棒市場 ジャスト」でも何度か買い物をしました。

当時あのお店にいらしたかたが、のちにドンキを創設された人物だということを、わたしは本書をとおして知りました。

読書をしていると、いろいろな発見があります。

金原俊輔