最近読んだマンガ23
『新・トルコで私も考えた 2020』、高橋由佳利作画、集英社、2020年。
わたしにおけるトルコとのご縁は、以下のふたつです。
まず、アメリカの英語学校で学んでいたとき、クラスにトルコ人男性(軍人)がいたこと。
彼は、おなじくクラスメートだった女性(コロンビア人)を好きになって、毎日せっせと花束を贈っていましたが、恋は実りませんでした。
もうひとつは、勤務先だった長崎ウエスレヤン大学にトルコ出身のかたが入学し、わたしのゼミに所属したことです。
勉強熱心で日本語が堪能な女子学生でした。
ほかでは、書物を通じ「1890年、トルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件」「1985年、イラン・イラク戦争時のトルコ航空による日本人救出劇」を知っていた程度。
個人的に尊敬と好意を抱いている国ですが、現在のエルドアン大統領は強権発動しすぎなのではないかと危惧しています。
さて『新・トルコで私も考えた 2020』。
長くつづいているシリーズで、わたしは既刊の半分近くを読みました。
トルコ人の男性と結婚され、25年間ほど同国にお住みの高橋氏(1958年生まれ)による、異文化体験が主題の「エッセイ漫画(pp.6)」です。
ダイナミックな話の展開はなく、かの国での日常が淡々と紹介されます。
今回は、トルコの交通事情、人々が示す親切、お墓問題、多くの国民が「冬の家」と「夏の家(別荘)」を所有する伝統、宅配便のトラブル、姪ごさんの結婚式、などが語られました。
後半の話題は、イスタンブール市内で台頭してきているカドゥキョイという街について。
東京でいえば原宿と下北沢を足して2で割ったみたいな感じのところで、賑やか、おシャレ、景観が美しく、レストラン街やカフェ街もあって、若者たちを惹きつける「磁力のある(pp.158)」地区だそうです。
「みんなすごく楽しそう~」
「ここは治安がよくて酔っぱらいもケンカもないのよ」(中略)
「女の子が夜道をひとりで歩いても大丈夫なの?」
「全然平気よ」(pp.149)
作中こうした会話が交わされました。
海外では珍しい治安の良さです。
行きたくなります……。
最後に、『トルコで私も考えた』というタイトルですが、わたしは、
「おそらく、
堀田善衛著『インドで考えたこと』、岩波新書(1957年)
椎名誠著『インドでわしも考えた』、集英社文庫(1988年)
の流れで付けられた題名でしょう」
と書き、さも教養があるかのごとく見せかける皮算用でした。
しかし、念のため『Wikipedia』で「高橋由佳利」項をチェックしてみたら、すでに当該件が解説されていました。
金原俊輔