最近読んだ本630:『台湾の本音:「隣国」を基礎から理解する』、野嶋剛 著、光文社新書、2023年
台湾の複雑な歴史と、歴史が複雑であるがゆえに十全な慎重さが要求される政治(とくに外交)の舵の取りかたについて、解説した一冊です。
タイトルに「基礎から理解する」とあるとおり、相当基礎的な事柄から話がスタートしました。
わたしはかなりの台湾好きで、その結果、これまで多数の台湾関連書籍を読んできたため、書中、すでに知っている件が多かったです。
とはいえ著者は「長年台湾を追い続けている(pp.156)」人物ですから、随所に新鮮な情報を盛り込んでくださっています。
なかでも、第6章「『台湾有事』は本当に起きるのか」は示唆に富み、おそらく多数の読者が納得するであろう結論を述べていらっしゃいました。
重要な章ですので、内容の紹介は控えます。
代わって、第5章「台湾は『親日』と言っていいのか」より、引用をさせていただきます。
台湾の対日世論調査があります。2021年度の調査によれば、「あなたの最も好きな国はどこですか」という質問に対して、60%の人が「日本」と答えています。第2位は意外ですが「中国」で5%、第3位は「アメリカ」で4%。基本的に日本がぶっちぎりで好かれていることは間違いありません。(pp.129)
類似のデータが種々の書籍で言及されていました。
それにしても、全体の60パーセントもの人びとが世界で最も好きな国として日本を挙げてくれる、そういう国家が近くにあるという事実が、わたしには大変ありがたく……。
上記につながる話題を書きます。
2022年、わが国の京都橘高等学校吹奏楽部が、台湾「国慶節」に招かれました。
部員の皆さんに本邦でつけられている「オレンジ色の悪魔」なる愛称が、現地では「橘色惡魔」と訳され、そして惡魔たちは国賓レベルの厚遇を受けたのです。
これもまた、台湾人に「日本がぶっちぎりで好かれていること」の証左のひとつ、と言えるでしょう。
京都橘高吹奏楽部の台湾における人気はほとんど芸能アイドルに匹敵し、その関係と思われますが、部は2023年末にも同国へ招待されました。
再度招待されたときの凄いもてはやされぶりは『YouTube』で視聴できます。
金原俊輔